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第267話
「で、そいつ誰だ?」
先ほどのやり取りとハイテンションな彼に、呆れたような疲れたような表情で嵩音は問いかけた。
「こちらの彼は、和民君です!」
「はい!ご紹介に当たりました、和民君です!」
「和民クン!」
「和民くんでっす」
「わたみ、ぎゃひっ!!」
「てんどんはもういい!」
「びゃははっ!早いツッコミッ!!」
またもスパーンッ!と頭をたたきツッコミを入れたのは嵩音である。
「面倒くせえのが二匹とか、マジでむり。疲れる」
「会長さん……」
「あ?なんだ前髪野郎」
「心情、お察しします」
両手で自身の胸元を押さえ、軽く頷きながら、今までにない程落ち着いた声で諭すように話しかける。
短い言葉だが、聖母のような囁きに、きっと彼も心の穏やかさを取り戻すであろう。そう確信するよう口元は緩やかに上がっていた。
「てめえのせいだよっっ!!!」
「ぶひゃひゃっ!!雪くんとノリが似てるっ!!!」
穏やかに、なんてことはなく。怒りは更に熱量を増した。
胸倉を掴まれ睨まれ怒られているが、いつも一緒にいる相方のお陰か怯むことなく笑い続け愉快ゆかいと話ていた。
その状況に一番てんぱっていたのはもう一人の彼であろう。
「え、えっ。和民君なんで笑っていられ?え?潤冬さっ、落ち着いて??」
話の進まない現状に、置いてけぼりの自分に、だんだん楽しくなくなっていく、羽葉であった。
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