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第268話
2人ばっかり!
ヤキモチのような感情を抱くも、目の前にいる筈なのに、急に遠くにいるような気がしていた。
「俺、帰ります」
彼らの邪魔にならないよう、小さい声で言う。どうせ聞こえていないだろうけど、何も言わないのも気分が悪いから。せめてもの気持ちってやつだ。
ハル先輩たちも知らない間に消えていて、みんな遠くに行ってしまった。
だから俺も行く。部屋に帰れば陽向もいるだろうから、お茶でも飲もうかな。
なるべく静かに、出来るだけ素早く立ち、くるりと背を向けた。
でもその瞬間、手を掴まれてしまう。
「玲音、どこに行くきだ?この可笑しな奴を置いて行くとか、アホ抜かすなよ?」
「それは……」
「なんだ?」
言いたくないくい。言えない。
言ってもどうにもならないこともあると、分かっている。
今さっきのあの空間に自分は入れないことも、と言うより見ているしかない状態だと、元より理解している。
「それなら!俺といいとこ行こ!!」
「へ?」
「ぉわっ!って、おい!!」
和民は嵩音の掴んでいない方の腕を素早く捕まえ、グイッと引くと林をかけて行く。
思わぬ行動に不意をつかれ、追いかけようと駆けたのだが草木生い茂る中、目の前を足元を何度も掬われ思うように前に進めない。
それなのに、気付けば自分の前から2人の姿は消え、仕方なく立ち止まる。
「あいつ、こんな中でもスピードを落とすことなく走っていったのか?玲音の腕を掴んだまま?」
ふと、先ほどの光景を思い出していた。
丁度この場所に到着した時のことだ。
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