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第16話
あ!
その人は慌てたように俺に向かって、良かったら座って。と端に移動した。
「はい!遠慮なく失礼します。あの、名前教えて下さい。俺、さっき来たばかりの1年、羽葉玲音です」
「さっき?」
「今日からここの生徒です!」
「そうなんだ。じゃああの噂は君のことだね」
「噂、ですか?」
なにそれ!俺噂になってんの!?
一瞬驚いたけど、待てよ?ここって幼稚舎から通うエスカレーターで外部から急に編入してきたなんて新聞の一面になるくらいのビッグニュースじゃね!?
まじ!?俺またミスってんじゃん!!
本来の俺のポジションは、平凡腐男子は見た。みたいなこっそりひっそり萌えを楽しむ。なんだけど。
「理事長秘書が作る編入試験を"満点で"合格した転校生」
「あー、それたぶん俺じゃないですね」
「違うの?じゃあ本当に噂だね。遅くなったけど、2年の北波 流季 です」
「るきってめっちゃ格好いい名前ですね!どぅきへんぱっ、つ!」
めっちゃ舌噛んだ。痛い泣きそう。口内炎間違いなしだ…
口を抑えてたら隣から大丈夫?って心配されて。必死に頷く。
「たつ…」
「っ、なにか、言いました…?」
「え…ううん。なにも」
「ですか?じゃあ、あの…俺、先輩の名前また噛んじゃいそうで…だから、ハル先輩!って呼んでも良いですか?」
「え、あ…」
何故か動揺しているようにみえた。
俺、また何かやらかしたかな…?
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