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第19話
「玲音君は来たばかりだから知らないと思うけど、この学園の人はね」
「同性愛者、の人が大半なんですよね」
「うん。でもどうしてそれを?」
驚いてるハル先輩にさっき理事長さんに聞きました。一言返す。本当はそれ目当てでここに来たんだけど、今はそれを言う必要はない。
「俺はそうじゃないけど、人を好きになることに違いはないと思ってます」
「そっか。俺はその1人なんだ。今、付き合ってる人もいるんだけど…」
キタッ!やっぱり腐の萌えレーダーは外れないな。
ハル先輩には悪いけど、期待してる自分がいた。その恋人、性格に難あり。とか3年生で先に卒業しちゃう。とか…ため息の理由はなんだ!
「どうかしたんですか?」
俺を見て、口を開いて、閉じて。俯いて、また前を向いて。
言おうか迷うハル先輩を何も言わずに待つ。無理に言わせてはいけない気がした。
ギュウ、スラックスを握り、俯いたまま震える声で呟きを地面に落とした。
「……浮気、されてるんだ」
×××
父さん、この妖怪は、どうやって戦えばいい?
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