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第20話

2人が出会ったのは中学生の時。たまたま席が隣同士で、たまたま教科書を忘れ見せてもらったから。でもって、たまたま相手が左利きで、意図せず腕が触れてしまったから。 「うわああ!ロマンチックな出会い!!最高に幸せな話し」 「そ、そうかな。人に話すのって、なんだか照れるね」 「照れるハル先輩も可愛い!で、どうなったんですか?」 少しずつ話す回数が増え、遊びに行こうと誘われ、徐々に仲良くなっていった。 告白されたのは中3の春で、相手に呼び出され「高校に上がってからも一緒にいたい」そう言われ、俺もと返したらしい。 「今になって分かるよ。きっと辰也(たつや)は遊び相手として、俺といたいって言ったんだ。俺だけ勘違いしてたんだよ。思い出したけど、あの時の告白に好きって言葉はなかった」 「……あの、ハル先輩は言いました?」 「なにを?」 「止めてって。ちゃんと、相手の人に言いました?」 「い、言えないよ!だって今まで俺に付き合ってくれてたんだよ?それなのに浮気しないでって、おこがましいし厚かましいよ」 「でも、付き合ってたんですよね!それなら」 玲音君。 名前を呼ばれただけなのに、静かに咎めるようでそれ以上何も言えない。 本当はもっと言いたいことがある。 何度も言うけど、エスカレーター式の学校なんだから、何もなければそのまま高校に上がる。それこそ友達なら何も言わなくても良い筈。でも、敢えて言うってことは、思いがあったからでしょう? 付き合ってくれてたって、それも違う。 相手に一緒にいたいと言われ、頷いたんだから、本当はハル先輩が付き合ってあげてたんだ。 でも、咎められてしまった俺には、それを言う資格はない。

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