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第21話
「ごめんね。こんなに暗い話をするつもりはなかったんだ」
謝るのは俺の方なのに。
そう思っても言葉が出てこない。ハル先輩が泣きそうなくらい綺麗に笑いかけてくれるから。
「寮に戻ろうと思うんだけど、玲音君はどこに行く予定?」
「あ、俺も寮に行く途中でっ!」
それなら、一緒に行こうか。ハル先輩が言ってくれて、2人とも漸く腰を上げた。
現実も小説でも、やっぱり浮気は苦手だ。誰も幸せになれない……
向かいながら寮のことを聞いた。
基本は2人部屋で、勉強優先の特待生と3年生は基本1人部屋だが、2人部屋も選べるらしい。
で、やっぱりと言うか、待ってました!と言うか、生徒会の部屋しかない階、専用の棟とかもあったりするらしい。
階は分かるけど、専用棟ってなんだろう…?そんなの聞いたことない。
「玲音君、ここが寮だよ」
「え」
寮に着いたらしいけど……なに?リゾートホテル?この中には室内運動場とか屋外プールがあったり屋上にはヘリコプターが停められるようになってたりする?
はたまた温泉かけ流しの大浴場とかオーシャンビューのエステとか、あったりするの?
流石だよ、雅さん。王道学園。
×××
もはや王道が分りません。
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