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第22話(side:生徒会)
ファイルを閉じ積み重なる資料の上に無造作に置く。
それに反応し今まで煩いくらいだったタイピング音がピタリと止まる。事の人物に其々の強い視線を向ければ、サラリと言った。
「そろそろあいつも戻って来る頃だろ?仕事は止めだ」
傲慢な態度を取るのはここのトップ、生徒会長であるからだ。名を嵩音 潤冬 と言う。常に学年トップの成績に少し長めの髪をワックスで遊ばせ、その奥に見えるアーモンドアイは冷たく甘い。名高い家柄の為、教師でさえ口出しできないことが多い。
「はぁ…貴方がただ、休みたいだけでしょう?嵩音」
カチャ、眼鏡を上げ仕方ない。ため息を吐くのは生徒会の会計監査である伊瀬 昂科 。彼もまた成績優秀で1、2位を嵩音と西埜に取られるも毎回3位をキープしている。
「やったぁ!僕お菓子と紅茶持って来るねっ!あやち、手伝って!」
同学年とは思えない幼く柔らかい見た目だが、伊瀬に次ぐ頭脳の持ち主で、生徒会書記の鶴来 亜睦 。おやつと飲み物はいつも彼が用意する。
「……ん」
鶴来と共に行動し、成績は常に5位。もう一人の書記である枦椋 絢 。
無口で人の言葉に頷くことが多い。話している姿は鶴来でさえ殆んどない。
紅茶は蒸らしてるから、先にお茶菓子持ってきたよぉ!
せっせと中央のテーブルに並べるのはスコーンにクッキー、サンドイッチ。小腹を満たしたい甘い物を食べたい。其々の欲を満たせるセレクトを毎回行う。
――ガチャ
「あれ?みんなおサボりかい?」
その内に生徒会副会長の西埜 暁胡は戻ってくる。
誰が例えたか、菩薩王子様の笑顔でいうと後ろ手に生徒会室の扉を閉めた。
「なんだ、その気持ち悪い話し方」
「帰ってきて早々気持ち悪いって、笑える。なに?今から貴方のパソコンにウイルスでもバラ撒いてあげようか」
「てめぇのまっくれぇ腹ごと捨ててやるよ」
「は?それなら貴方の汚い喋り方も捨てて来て貰っていい?私の耳が穢れるので」
「んだとてめぇ!!」
ガッと怒りのまま西埜の胸倉を掴み捻り上げたところでまたガチャ、と扉が開き、漸く注ぎ終え紅茶を置いた鶴来と枦椋がまた顔をだす。
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