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第24話

「じゅんじゅん片付け下手ッぴ過ぎ!なんで机じゃなくて棚から見つかるの!?ねぇ、なんで!?」 まん丸おめめを潤ませ甘えた声で一言いっていい?首を傾けた鶴来だったが、珍しく声を張った。どうやら我慢の限界だったらしい。 何でなんでなんで!問い詰めるも嵩音は、うるせぇな。その一言で打ち切るだけ。 「それより、理事にいつ来るか聞け」 「貴方で聞きなよ。それとも何?スマホまでどこかにやったの?」 「お前じゃねぇ、似非王子!ゴミ箱に片付けんぞ!昂科」 「はいはい」 「ふっ、その片付けが出来てないのに何を」 「人使いも下手ッぴだ!…ひっ!あやち、怖い」 気の短い嵩音は彼らの言葉にあ?ドスの聞いた声と鋭い視線を向けたのだが、西埜は半笑いのまま「おー、怖い」と鶴来は隠れながら「じゅんちゃんの怒りんぼ!」と反省は見えない。 長いことつるんでいる間柄であり心許しているからこそ出来る言動だ。 「嵩音、もう一人は一週間後に来るそうですよ」 「あっそ。で、そいつはなんでうちに」 「さぁ 書いてないですね。試験のことも以前どこに居たのか、という――あ!」 言い終える前に手から資料を奪い取り自らで見始めた。言う通り基本情報以外に特に変わったことはなさそうである。 「おい。こいつ俺たちと同い年なのに、一年に編入になってるぞ」 「理事長様が間違えたっていうの?」 「それはねぇだろ。あの秘書も付いてんだ」 もう一度理事長に確かめると、それまで海外の学校に通っていた為、こちらで1年生の授業から習いたいと志願したらしかった。 「へー、勉強熱心だね!ねぇ、じゅんちゃん。名前はなに?」 枦椋の背に乗りひょこり、2人して顔を覗かせた。最も、枦椋は興味なさそうにあくびをしていたのだが。 「槇野 哉芽(まきの かなめ)」 「ふーん」 心ここに有らずの返事をしたのはあることに気付いたから。 あやち。かなめん、同じ誕生日だよ。コソと誰も気づいていないであろうことを耳打ちしていた。 誰の、と敢えて言わないのは彼も誕生日を知っているから。

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