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第25話
怖い話していい?本当にあったんだ。
それは、真白の手袋をはめた彼がゆっくり扉を開けて、俺とハル先輩がリゾートホテル基学生寮に入り、ふかふかの床を真っ直ぐ歩いてカウンターを目指していた直後のこと。ふっと、遠くの方で通り過ぎたのだ。
黒く、艶のある……そう、グランドピアノが!!
もう本当にホテル!しかも高級ホテル並みの作りだから。泊ったことないけどね!創造と妄想だけどね!
先ずドアマンがいる寮ってなに!?ふかふかでこのまま寝られるんじゃないかって床は!?優雅に商談出来そうなソファとテーブルは!?きょろきょろしながら歩いていれば隣からクスクスと笑い声がする。
「玲音君、楽しそうだね。よかった」
「めっちゃ楽しいです!俺、こんなホテルみたいな所で生活するんですね!夢じゃないですよね!」
「夢じゃないな。これから君は、高校の3年間をここで過ごすんだ」
「え、あ!!」
ハル先輩じゃない低く落ち着いた声に、そっちを見れば緩く七三分けの物腰柔らかそうなスラッとしたお兄さんと、隣にはキャラメル色の短い髪を更に立ち上げピアスを計3つ付けたお兄さんがいた。
「あの、どなたですか……?」
急な登場にさすがの彼も困惑を隠せないでいた。
正体を知り、テンションを上げるのは数分後である。
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