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第38話

キーンコーンカーンと言う聞き慣れたチャイムと周りの生徒の「昼どうする?」と言う言葉に漸く前半戦終了を知る。 「んー、やぁっと終わった!」 「腹減ったな!今日は何食うかな。な、陽向!」 「え、うん。それより、玲音が…」 陽向の言葉に、大翔と惺士が同時にあぁ…って憐れむような声を出したのを人事みたいに聞いた。油断していた。そういえば、王道の彼らも試されていた。結構きついぜ。この容赦ない攻め。 「全授業で当てられとったなぁ。しかも難問。俺、全滅やったわ」 「俺も数学がやっとだった。なのに玲音は、サラッと全勝な」 「玲音凄い。まだ授業で習ってないのもあったよね」 「ほんまそれ。俺らかてまだやのに、どこの進学校通っててん」 普通の学校だよ。力なく答える玲音に、あ。限界きてる。瞬時に察知して学食に向かった。 昨日とは打って変わって、昼休みのこの場所は生徒でごった返している。だが列になることはない。それほどの広さを有するのだ。 「先ずはチョコレートパフェ!」 メニューを開いてこれっと指さす。 「え?」 「なんや、もうデザートいくんか?」 大翔の言葉にスッと両肘付いて重ねた手の甲に顎を乗せる。そして、落ち着いた精いっぱいの低い声で話す。 「今朝から疲れて脳が糖分を欲している。俺には分かる。糖が、っ…糖がっ、の、欲しているっ…」 「糖が何欲しとんねん!」 「くああっ!決まらない!!俺の見せ場が決まんないい!!」 「なんだそれ!今の玲音の見せ場だったのか!」 「見せ場?」 「口も回らんくらい疲れとるんやな。かわいそうに」 「おっまえ!口が笑ってんの丸見えだからな!」 直後、ブハッ!と吹き出してゲラゲラ泣き笑いされた。 めっちゃ悔しい。この恨み、はらさでおくべきか。

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