55 / 291
第54話
「静かなのにうるせぇよ。きょろきょろすんな」
「えっ、えっ?…え?」
「はぁ…連れてくんじゃなかった」
ベッドから降りた会長さんは明らかにイライラしてた。騒ぎ立ててすみません。ってそうじゃなくて!もう直接聞く!!
水のボトルを持って丁度戻ってきた。
「あの!ここってどこですか!?」
「俺の仮眠室。確か、昨日も言ったよな」
ギッ、ベッドの端に腰かけてこっちを向く。まだ少しイライラしていた。
「えっと、そうじゃなくて…場所はどこになるんですか?寮ですか?」
「場所?なに、それ聞いてどうすんの?また来たいとかアホなことぬかしてみろ?外で犯すぞ」
「じゃなくて!俺、どうやってここに来たのか記憶になくて!帰り道も分からないので、それでっ」
「あぁ、確かに。お前寝てたは」
思い出してくれて良かった。イライラもちょっと落ち着いたように見える。
ふう。これで安全に帰れるよ。良かった。
「それで、あの」
「ここの場所だろ。外、見たことねぇか?」
「へ?」
ベッド脇の窓から外を見下ろして。一昨日来たばかりの俺には全くぴんと来ない。
「分かんねぇか。ここ、学食の3階な」
「……え、3階?」
一つ言っていいですか?
誰に言う訳でもなく、心の中で呟く。
「学食って2階もあったんですか!?」
は?そこからかよ。
会長さんがめっちゃ呆れてるのが良く分かった。俺も自分の声に驚いたし、無理はないと思う。でも、気付いたら叫んでいたのだから仕方ないとも思う。
なんと2階は生徒会の専用らしい。
寮も専用棟があるって言っていたような…え、王道の上を行き過ぎじゃね?どういうこと?
でもって、どこに繋がっているのか不思議だった中途半端な場所に設置された扉の先が学食に通じていることも教えてもらった。昨日の料理もそこから運ばれてきたらしい。
まぁ、そうか。下が学食なら頼みやすいよな。
ともだちにシェアしよう!