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第62話

「ぅは!なんてリアルな夢!!」 赤毛のゴリラとぐふぐふ言う前髪の長いオタクみたいな奴にヤバいことされた。 「ぐぷぷ」 「……って夢じゃない!?」 隣に寝る赤毛と、何故か膝枕して見下ろしてくるオタック…る? なんだろう。見下ろされてるから長い前髪が開いて大人びた顔が見えて、でも眼鏡がなくてちょっとぼやけていて違うような気もする。 「か」 「シィー、雪くんが起きたら面倒くさいから静かにね!」 「いや、あ…」 「おいオタミ!まる聞こえなんだよ!」 「あちゃちゃー!面倒が起きた!」 まぁ、こんなハイテンションじゃなかったし他人の空似だったんだろう。 「いやぁ、君もごめんねぇ。雪くん下半身男だからさぁ」 「うっせぇ変態オタク!」 「むむ!それはみきたんへの冒涜とみなす!!」 頭上で行われる口論にさっきのことを思い出していた俺は頭がパンクしそうで、眩暈を起こしていた。 今日は何曜日だっけ…日曜にここに来たから月、火、水… 「どうしたの?」 「…もくよぉ」 「ありゃ?お口痺れて上手く喋れないねぇ」 「はっ、くすぐった」 自分では感じてなかったけどどうやら舌がまだ痺れているらしいし唇を撫でないで欲しい。ゾワゾワくすぐったい。さっきのを体が思い出しそうでヤダ。 なんか、手が震えて来た。 「んひひ。顔が溶けてきた。止めて欲しい?続けて欲しい?」 掴んだ相手の手首の筈なのに逆にする、と自分の手首を肘に向かって撫でられ、はぁ…唇も震えだした。 「雪くんは自分の下半身のことしか考えないけど、僕は違うよ?」 「おいオタミ!人を下半身で生きてるみてぇ言うんじゃねぇ!」 「みきたんを非難するからいけないんだ!それに事実を言ったまでだ!」 「はぁ!?アニメの女に興奮する変態に言われたくねぇ!」 「またみきたんを非難したな!雪くんだって早漏下半身のくせに!」 ふざけんじゃねぇ! また口論になり、キレたゴリラが手を振り上げあ、ヤバい。ギュッと目を瞑ると直後にパンッと乾いた音が響く。 なに?なにがどうしたの…? 「ぁ…」 オタミと呼ばれた人物が顔の前で拳を受け止めてた。見上げてたからそう見えたのかもしれないけど、口元が愉快そうにしているようで、やっぱり空似じゃないのかも…なんて思っていた。 ××× 王道は、大体ただのオタクじゃない。

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