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第67話「事の2人目」

「って言う本当に濃ゆい一週間だったんです」 「おやおや、大変だったんだね」 「そうなんです。あ、でもなんか今日、また編入生が来るみたいで――」 ここに来るのも3回目となればもう慣れたもので、こんにちはー!と社員のように元気に裏口から入り本当の社員さんに挨拶しながら通路を進む。もちろん用事があるのは高橋さん。 そう、ここは学食の厨房。 「珍しいね。今年は2人も外部生が来るのか」 「あ!もうこんな時間だ!」 「何か用事なのかい?」 「午後に来るらしいので見に行くんです!その編入生を」 「なるほどね。気を付けていってらっしゃい。その子の話しも今度聞かせてくれないか?」 高橋さんの言葉に「もちろん!」返してバタバタ休憩室から出る。職員室までの道もばっちり頭に入ってるから急いで走るだけだ。 「あれ?彼、今日はもう帰られたんですか?」 「うん、そう。忙しい子だよ」 「そうやって寂しがっていると、本当に親戚のおじさんみたいですね」 「いやいや、彼の本当のおじさんはお前の上司だから。そいつと同じとか、もっと落ち込むこと言わないで」 「貴方も理事長も本当、玲音君に甘いですね」 はぁ…早々に帰ってしまった玲音に肩を落としている高橋は学生時代、現理事長である雅と同級生だったのだ。何かにつけて競いあい、いいライバルであった。ここの理事を務めると言った時、それなら自分もここに務めよう。そうして今に至る。 玲音のことももちろん赤ん坊の頃から知っているし、ここに来た経緯も知っている。 「甘くもなるよ。あの子のことは生まれた時から聞いているし、何もかも雅が喋ってくれたからね」 「なるほど。それは仕方ないですね。玲音君も、ここに来るまでに色々あったようですから」 「ここに来てからも大変そうだよ。特にあの部屋から降りたと知って、心臓が止まるかと思った」 「会長の部屋でしたっけ?」 「そう。その様子だと、雅には言っていないみたいだね」 「話すと面倒なことになりそうですので。今後も話すつもりはありません」 賢明な判断に流石は彼の秘書だと高橋は感心していた。 ピリリリ!話を遮る着信音に何事かと様子を伺っていると秘書である彰はスーツのポケットから携帯を取り「はい」静かに答える。 「はぁ…高橋さんです。貴方が行けと言いましたので…」 耳を傾けていた高橋もその態度から相手が彼の上司、理事長の雅からだと容易に想像がついた。きっと、戻りが遅く心配になったのだろう。 彼の甘やかし癖は、君にもあると思うよ。そう言いかけ高橋は飲み込んだ。 言っても違うと即否定されると理解しているからだ。 ××× 仲のいいおじさんは、正義

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