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第68話

俺の生涯始まってからこんなに待ちにまってたことはないし、腐男子の大イベント!しかもその目撃者になってる事に途轍もなく感動してる。ただの編入生じゃないんだ。この金持ち学園の!王道の!間違いなく、季節外れの!編入生をこの目で拝めるのだから。 無事に付いたよ職員室!…の、外!!廊下じゃない、外! そして現在進行形で窓から職員室を覗いてます。 「俺はそう、一歩間違えれば不審者」 「れっきとした不審者だ!丸頭!」 「うひょいっっ!すみませんしたあ!!」 「逃がすかっ」 「うっ!のわっ!!」 顔を見られる前に逃げようとしたけど腐男子の俊敏さを上回る動きで首根っこを引っ掴まれ、尻もちを豪快についてやった。みっともない!!余計に顔を見せられないよ。 「いてて…」 「自業自得だ。こんな不審者極まりないことをして、学園の恥晒しが」 「それは貴方が首を――」 振り向いて目を疑った。会長さんが金剛力士像の如く怖い顔して腕を組んでいた。 仁王立ち、似合いすぎじゃありません?と言うか、なんで。どうしてこの人と関わらないといけないんだ? だってここ、職員室の裏で、整備されてるけど芝生と木しかない、普通の人は来ないだろう林の中だよ? 会長さんがいると違和感半端ない場所だよ? 「会長さんが、どうしてここに…?」 「不審者がいないか、見回り。早速、一人見つけたがな」 「俺はここの生徒ですよ、会長さん!」 「あぁ、俺だ。不審な丸頭を見つけたから、すぐ連れ帰る」 うおおお!!ちょちょちょっ、待ってくれ俺はだから不審者じゃないしなんで会長さんまで俺のこと丸頭って言うんだよ!そんなに丸くない!普通!まぁちょっとは頭に沿って髪は切ってるけど。美容師さんにも切りやすいですねって言われるけど。 はっ!もしかしてマネキンの頭みたいに丸くて切りやすいって意味だったのか!? 「複雑な気持ち!」 「あ?さっきからうっせぇ。丸頭」 「会長さん!俺には玲音って名前がありまして!」 「知ってるはっ!バカにすんじゃねぇ、満点野郎玲音」 「うわああん!それなのに連衡するんですかぁっ」 足に縋りついたらうわっ、ってガチ声で聞こえて凹んだ。このまま生徒会に連衡されてさらし者扱いされて… 「連衡はっ、さらし者は勘弁して下さいぃ」

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