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第69話
「するわけねえだろ。アホか」
「……へ?」
見上げたら呆れた顔を向けられてて、俺も口を開けたまま見上げるしかなくて。暫くしたら会長さんが「俺も仕事から逃げて来たんだよ」早口に言いばつが悪そうに頭をかいてそっぽ向いたのだ。
「見回りじゃ…」
「だからちげぇって言ってんだろっ、電話もしてねぇよ」
「え…良かったぁ…俺、ここ退学になるかも知れないって思って…」
「たかが職員室覗いただけで、んなことになるかっての。まぁ、試験中は問題外だが」
しゃがんだ会長さんがなんの気紛れか俺の頭をわしゃわしゃ撫でてきて「ホントに丸い頭だな!」笑ってたけど、今度は気にならなかった。
それよりも、よく笑う俺様だなってことが気になって仕方なかった。
だって、笑うのが苦手?下手?なのが王道の生徒会長でしょ?
「んだよ。俺に見惚れてんじゃねぇよ」
「見惚れっ!?違いますっ!」
「良いんだぜ、俺に惚れても。満点丸頭」
「まっ!?絶対惚れません――うわっわっ!」
突然肩を掴まれ気付けば芝に押し倒され真上には会長さんが。
彼越しに見える空は青くて、会長さんはやっぱり晴れた空似合うな。流石イケメン。もはや逃避行してた。
「絶対、なんて言うなよ」
「会長さん?」
「なぁ、また相手してやろうか?」
「あ…会長さん、相当お疲れですね」
「は?」
直ぐには気付けなかったけど、目の下に隈が出来てる。それもそうか。
俺はここにきて一週間しか経ってないし、新学期になって一か月も経ってない。という事は会長さんたちも引き継いでまだ一か月経っていないという事。
そりゃあ逃げ出したくもなるよ。俺には無理。逃げたまま帰りたくない。
「ちゃんと寝て、ご飯いっぱい食べて下さい!」
「何言ってんだ」
「会長さんがそんなんじゃ他の人が困るんです!」
「……なら、お前が管理しろよ」
「へ?何を」
「俺がちゃんと寝てるか、飯食ってるか、お前が見張ってろよ」
え、ちょっと意味が分からないんだけど何それ何語?どうしてこうなった?
会長さんを見上げ瞬きが止まらない。
どういうこと?なに、何が起きたの?そんな流れあった?
「黙ってんなよ。なんだ?言うだけでなんも出来ねぇのか?お前も」
「で、出来ますよ!」
「はっ、どうだか」
「あ!ちょっ、会長さん!」
スッと俺の上からどいて立ち上がると、今日の夕方、あの部屋にいろ。言葉と一緒にポイッと光る何かを投げてきて、腐男子の瞬発力で見事に芝生に落としてやったぜ。
悔しい!格好よくパシッと取りたかった!
「カギだ……」
どこの、なんて考えたくなかった。でも、売り言葉に買い言葉、なんて初歩的な口車に乗せられた自分も悪い。
なによりどうして会長さんもあんなこと言ってきたんだろう。
ふと、高橋さんの話しが蘇って。いやいや、そんなんじゃないって。すぐ否定する。
「お前もって、なんだ…?」
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