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第70話
「なんか騒がしいと思えば、そこでなにしてんだ?羽葉」
「へぁ?ツッキー!」
職員室の窓を開け、ツッキーがこちらを見ていた。
そこでなにを…と言えば、さっき会長さんに押され何もない芝に座っていて、会長さんもいないので、ぽつんと一人。はたから見れば本当に何してんだ状態。
「えっと、日向ぼっこ…てきな?」
「なんだそりゃ。どうせお前、こいつのこと見に来たんだろ」
ビッ!中を指差したツッキーの脇から顔を覗かせる。ちょっと背伸びするけど十分中は見える。
……キター!イター!例の人物らしき人がいるじゃないか!前髪長くてもっさい髪に体の前で手をモジモジ動かして足が長くて身長高くて!
「ん?身長高い…?」
「あぁ、なんでも180超えてるらしい」
「え?王道、元気なチビ編入生は…?」
「何言ってんだ?元気でチビで丸頭の編入生はお前だろ?」
おいツッキー!俺をディスってんじゃねぇ!ちょっと俺より身長あるだけでそんなに変わんないからな!15…10センチも違わないと思うからな!あと俺はこれから20センチは伸びる予定だ!180なんて全然悔しくねぇからな!!
追い越してツッキー踏みつぶしてやる。
「いや待て、20足してもギリ180センチいかない…嘘だろ…」
「あ、丁度いいから羽葉、こいつ寮まで案内してやれ」
「ええ!?俺もここに来たばっかりなのに!?」
「寮ぐらい案内してやれよ。俺はお前たちの授業の準備で今日は忙しいんだよ」
「うえっ!?あ!ちょっ!!」
俺の返事も聞かず「じゃあ、宜しく」そう言ってペロッと俺を窓から引き剥がせばそのままそこを閉め、ご丁寧に鍵も掛けやがった。
「30センチ身長伸ばしてマジで踏みつぶすからな!ツッキーのチビって言ってやるからなああ!!」
ガンっと壁を蹴り校舎の中まで走った。その後、職員室の壁を蹴るんじゃないと怒られたけど、俺の所為じゃない。ツッキーが俺をディスるからだって言ったら更に怒られた。
マジ許さん。40センチ伸びて捻り潰してやる!!
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