「ダメです。会長さんが、そんなこと言っちゃ…」 自分が何をしているかなんて嫌な程分かってる。でも言って欲しくなかった聞きたくなかった。思ってもいない酷いことを、全生徒が敬慕する会長さんの口からなんて…… 「ダメ…」 俺もダメだ。声も口も震えて、話せそうにない。やっとのことで見た会長さんは、泣きそうな顔をしていて、余計に口を噛む。 どうしたんだろう、俺。こんなことなかったのに…震えてるとか、なんで…？ 会長さんのことより、自分のことが分からなくなった。 困惑している俺を知らない会長さんが俺の手をゆっくりと剥がして、押さえ込んでいた体をソファから少し起こす。 「ま……玲音、んな顔すんな」 「……」 「もう、言わねぇから」 顔を包むように撫で、落ち着いた話し方をする会長さんに俺も頷く。 楽しくないは、終わりそうだ。 「会長さん、ご――」 「潤冬(じゅんと)」 「え？」 「名前。会長でなく、潤冬でいい」 「あ…はい！潤冬さん！」 さっき俺のこともちゃんと名前で呼んでくれた事に気付いて、やっと仲良くなれた気がした。 いや待て！俺と会長との親密度上げてどうすんだよ！？これBLゲームじゃないぞ！？上げたってシークレットスチル貰えるわけじゃないぞ！？ ××× 会長とのルート開放って…？