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第95話
君だって。
この続きはまだ何もない。と言うより、何も出てこないんだ。中学より以前の記録が、どこにもない。理事長やその秘書のパソコンに侵入しても、通っていたと思われる中学のネットワークを弄っても、何一つ出てこない。小学校の情報くらいはあっても良い筈なのに……
羽葉君を一度諦め槇野君を調べたが同様だった。
いや、少し違うな。槇野君の場合は小学校と中学2年の半ばまでは記載があった。でも意味が分からない事が多い。
「……グラタン、美味いですね」
「だよな!このソースが特に美味しいと思わない!?」
「まぁ」
同意を求められたけどそれどころではない。ここの呑気な奴らは気付いていていないだろうけど、槇野君がさっきから愉快犯の如く髪で隠れていない口の両端を上げこちらを見ているんだ。まるで、自分は全て知っているとでも言うように……
なんだ?何を隠す?何故そんな楽しそうにしているんだ?いいのか?自分のことを洗いざらい暴かれても――
違う、そうじゃない…こっちを守っているんだ!
「委員長?グラタンもう一口いる?」
「―――ou to」
「!」
「え、槇野君?」
聞こえた言葉にハッと彼を見れば僕をバカにしたように続けて言った。
As you know. もう知ってると思うけど、だと?何を知ってるんだ。こっちを守る必要があることをか?自分を犠牲にしても?
わかんねぇ。なんだこのモヤモヤした感じ。
それにあれもわかんねぇ。君たちは、いや君はなんなんだ、羽葉 玲音。
×××
Not Revealing you to. 貴方には暴けない。
急な英語で謎感演出が王道。
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