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第104話
《只今より、サインクダサインを開始致します》
一限終了と同時に校内放送で流れたアナウンス。こんな短い休憩時間に始める人はいないだろうなぁなんて思っていたら、ガタガタ音を立ててクラスの大半の人が教室からいなくなっていた。
「え、マジで?イベント好きすぎか!?」
「玲音、俺らも負けてらんないぞ!」
「えっ!惺士??」
「俺も負けれへん!!行ってくるわ!」
「大翔も!?」
なに?これそんなに必死になるヤツなの!?俺がおかしいの?
え?教室から出るべきなの?いやいやいや、無理だって。俺ただの腐男子だし体力の限界値知ってるしあんなジャングルみたいなところに突撃とかしたら体折れる。変なところに腕とか曲がってホラーになる絶対。
「まーきの!ボクとしようよ」
「えっ、哉芽にっ!?」
どこぞのドラマかと思って哉芽を見たら或間君が細目をより細くして楽しそうに寄っていた。
……先越された!!
俺より先にゲーム開始だと!?
「玲音、サイン、くださいん」
「!」
うおおお!!
天使。もう天使。もうこれアレだ。泣くやつだ。心の中は大洪水だよ。優しさに包まれてる。
教室じゃなかったら本当に泣いてるから。意味わかんないけど、泣いてるから。
「じゃーんけーん、ポン!」
「はい、僕のサイン」
「んんっ!」
陽向のサインいただきました。とてもこれはあれです。可愛い。にこにこマーク付いてるし天使です。逆に冷静になるくらい天使です。
「…尊い……」
「玲音、どうしたの?」
「ううん、なんでもない。よっしゃ!一人目ゲット!!」
「はーば君!次はボクとしようよ」
「いいよ!」
次は或間君だな!負けないから。天使の効果で今最強だから。負ける気がしないから。これ負けるフラグじゃないし俺絶対勝つし。ぜってぇ勝つ。俺の本気、見せてやる。今日は負ける気がしない。
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