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第110話
どこまでされたの?
部屋に入った途端尋ねられ、抱えられたままだから逃げられないしそもそも気力もない。仕方なく殴られただけとやっと答える。あ、あとラクガキにペンも。と、気付いたらタガの外れたオモチャのように全部話してた。
「じゃあ、軽くお風呂で洗っておねんねねっ」
「おねんね……」
おねんねを聞いてから早く横になりたくて、でもお風呂場に運ばれ慣れた手つきで泡ブクにされ、次に気づいた時はベッドだった。
チラッとお腹を覗いたけど、まだラクガキは残ってた。
「エロ漫画読みすぎだろ、あいつ……」
「あ!めぇ覚めたねぇ。味噌汁のむ?」
「え、なんで味噌汁……?」
「のみたかったから!」
……こ、この人!変なんです!!とか言いたいけど喜んでのってきそうだからなんとか言いとどまる。
余計疲れそうだし、でも味噌汁美味しそうだしなによりいい匂いがここまで来てるし、早く飲みたい。
俺も相当変人…?でも気にしない!
「はぁ…味噌汁ってこんなに美味しかったっけ…」
「ん?これはねぇ、人には言えない秘密があるんだなぁ」
「秘密?隠し味ってこと?」
「そうだよ!なんてったってこれは学食の味噌汁!だから俺も知らない秘密があるに決まってる!!」
「マジで隠してる!と言うより知らないだけかあい」
いてて…動いちゃいけない、間違えた。動けない体なのになんて事させるんだ!でも温かい味噌汁のんだらなんか、一息付けた。マジ学食の人に感謝。ありがとう。
美味しいお味噌汁をありがとう。
「でさあ、玲音くん」
「はい?」
「今日のこと、どう片付ける?」
「え」
「生徒会に言えば一発で全員いなくなるよ?」
にっこにこの口元で尋ねられ、ああこれマジなヤツだって直感した。
和民君のなにがマジかって、そんな簡単に許してやらないよね?言いたそうに頭を横に倒し尚もにこにこ上げる口端にマジで変人だと確信したことだよ。
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