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第118話

翌日、ホームルームよりも先に校内放送で羽葉玲音は理事長室に呼ばれていた。担任で生徒会顧問の月極も呼ばれ教室には代理の教師が、そして2人は階段で会い仲良く向かっていた。 「ツッキーも呼ばれてなに?俺なんか悪いことしたっけ?」 うんうん隣で唸る彼に思い当たる節があるくせに何を言っているんだワザとか?眉を寄せたが次には話しにのるよう、夜の校舎でガラスとか割ってねえだろうな?冗談めかし口にする。どうせ知らねえだろと。 「やり場のない気持ちの扉破ってないし」 お?もしかして? 思いがけぬ言葉に顰めていた眉間の溝が浅くなり、そしてまた、こんなことを言ってみる。 「行儀よく真面目なんてクソくらえって?」 「家出の計画も立ててない」 「俺は大人の代弁者って?」 「分かり合えなくても俺は睨まないよ!」 「ぬす」 「バイクも盗んでないし卒業もまだ先だから!!」 「ブハッ!アハハハッ!!」 そこまで言われ抑えきれなかった感情が吹き出していた。 立っていられなくなり理事長室に続く廊下の途中でしゃがみ腹を抱え肩を震わせ、ゲラゲラ声を出して笑う。え、なに急に!?と驚いていたがつられブフッと笑いを漏らし気付けば2人してしゃがんでいた。 「お前っ、返し秀逸かっ」 「ツッキーこそ…ぷっ、なりきって…」 「そりゃ、お前が、クソ真面目に返しやがっ…」 笑いは一向に治まりそうにないようであるが、何の為にここにいるのかもどうやら忘れているようで、近づく影にも気づいていない。

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