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第120話

ソファに腰かけた直後、理事長の雅は言った。どうして呼ばれたか分かるかい?と。 彼がそれに答える前に月極が一息に言い放つがしかし、それには彼の知っている事実と大きく異なる点があった。 「生徒会に匿名で掛かって来た電話で暴行を受けていた生徒がいると知り、確認すると被害者は彼、羽葉玲音君だった。そのことで間違いないでしょうか」 「え」 「玲音?何か違う所があるようだね」 「あ…いや、じゅ…会長さんが、専用棟から見えたって…」 「見えた?月極先生、本当かい?」 鋭くなる視線。だが月極は怯むことはなくそれはあり得ない、断言した。何故ならあの棟から今回の場所を見ようとしても木に遮られ阻まれる。その為に監視カメラは付いているのだが、一つ弱点があった。それは、一日中監視出来ないと言うこと。 理由は簡単なことで、今年度の風紀委員がまだ機能していないから。 よって、記録は残るが発覚に時間がかかり、また多くは見逃しているだろう。 「なるほど。それであり得ない、か。では会長の言ったことについて、彰君、君はどう思うかい?」 「そうですね…一つだけ考えられるとすれば、生徒会全員のパソコンとカメラの映像が繋がっているからではないかと」 「ほお。いつでも見れるが裏を返せば見ないでもいられる。それを彼は悔やみ自分を悪者にしたのか、はたまた本当は映像を見ていたが、見て見ぬふりをしたのか。玲音、君はどう思うかい?」 「え…」 「お言葉ですが、理事長。嵩音はまだ未熟ではありますが、トップに立つ責任感はもうあります。現に羽葉君のことは自分の不行き届き――」 「月極先生、私は今、彼に話を聞いているんだが」 言葉を並べる月極に至極冷静な声が飛ぶ。言いたかったことはグッと喉に留められバツの悪そうな表情が現れた。嵩音が見て見ぬふりなどするはずないし、信じたいと思っている。だから待つしかない。 そして、尋ねられた彼は混乱していた。 「えっと…」

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