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第128話

「お前さ、なに気にしてるわけ?」 黙って俯く俺に聞いてくるけど、気にしない訳ないじゃん。心の中でぼやいた。見られるのが二度目だろうが三度目だろうが何度目だろうが、こんなもの見られて気にしない人はいないだろうに。 「いつかは消えんじゃなかったのか?」 「消えることと気にしないことは一緒じゃないです」 「あぁ、確かに。でもいいじゃねえか、そのおかげで俺に洗ってもらえるわけだし」 「洗う…?っ!」 伸びてきた腕に腰を取られ後退りも逃げることも出来なくなる。もう片方は乾いたお腹をさっきみたいに撫でてきてくすぐったさと鳥肌とは少し違うゾワゾワした感じに思わず猫背になる。そしたら相手も背を丸めたらしく耳に息がかかった。 「思ってたけどよぉ、大人しくこんなこと書かれてんじゃねぇよ。抵抗もしてなかったじゃねえか」 「抵抗なんてしたら、っ、油を注ぐだけで…」 「で?何もせずやり過ごして、その後も何もしないって?頭悪すぎだろ」 「っ、ふ…だっ、て…」 だって。 ツッキーにも言ったけど、俺が何かして、そしたら彼らは責任を取って学校を辞めることになる。先なんて分からないしそうと決まってる訳じゃないけど、噂は早いから、明るい未来は直ぐには訪れないだろう思う。 誰からも相手にされぬ時間、孤独、世間からの重圧。周りは楽しそうにしているのに自分はまるでそうではなく、いるのにいない存在となり、空気のように色を無くしていく。 そんなことが起きたら、一生のトラウマ間違いなしだ。 腐男子の経験で知っている。王道を行く者は、何もせず平穏にしていないとすぐに荒波に飲み込まれるんだ。

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