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第142話
こんなんじゃ寮にも帰せねぇよ、あのアホ…ドロドロの制服を見てそう呟いた。
でもって足首に引っかかるスラックスを上げる為に俺の手を引いた。
あ、待って。
「うおっ!」
「ん、ばかぁ…」
「わりぃ」
簡単に立てる訳もなく、足が床に着いた瞬間、目の前の体にダイブ。温かい腕に支えられ全然違うのに何故か頭の中で彼と重なってしまった。
「じゅんと、さ…」
「ん?」
「あっ!いや、なんでもっ」
「おいっまだっ」
自分の呟きに驚いて頭が一気に覚醒したし慌ててしまい腕を突っ張るけどまだ足に力は戻っておらず支え直されてしまう。
今、なんて言った?大丈夫?ツッキーには聞こえてない?
どうしようどうしようが頭を占めさっきまでの状況を忘れた。
俺、なにしてたんだっけ?
「……お前さ、理事長室の時も思ったけど、嵩音と何かあったか?」
「え、あ…」
「あったな。まぁ好都合だ。今から呼ぶから、来る前に下くらいは履いとけな」
「え!!」
嘘でしょ冗談止めて!言う前にあぁ俺だ。電話してた。
マジ?本当にかけてる?え、ヤダ。マジ?止めてどうしようどうしたらいいの?
背中に手が回ってて逃げられないしそもそも寄りかかってるので精いっぱいだし簡潔に言うと、パニック。
「はは、急に慌てだしてどうした?安心しろ、ちゃんと来るからな」
「ヘアッ?ちゃんと来る方が安心できないしどう説明しろと??え、マジ?マジで呼んだの?」
「マジだ。説明か…そうだなぁ、あ!一服盛られたってのはどうだ?」
「どうだじゃないよ!全然よくないから!」
「そう言われてもなぁ…もうあいつには言っちまったからなぁ…」
え、何を?
聞き返した俺に告げられたのは、どこで誰に何をされたのか。その全てだと言う正に天に昇りたい宣告だった。
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