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第146話(side生徒会)
「はぁ」
少しばかり苛ついた溜め息を吐くのは支配者を無くしたここの第二の者。それまでのタイピングを止め、カチャと眼鏡を外した。はぁ、もう一度溜め息を吐くと立ち上がり、どこへ向かうのか。
「きょーちゃん、どうしたの?」
「……最近、可笑しいと思わない?」
「誰がぁ?」
視線の先を見ていないのか鶴来はそんなことを言う。彼のそれに更に苛つきを増すが
嵩音ですよね。伊瀬の言葉に怒りを抑え冷めた表情で頷いた。
まだ熱のあるノートパソコンをパタンと閉じ、持ち主のデスクに腰を預け寄りかかると腕を足を組み、口を開いた。
表情と同じ冷めた声だった。
「彼が来てから、可笑しな行動が増えた」
「……羽葉君ですか?」
「そう。さっきの電話もたぶん彼だよ」
「えー!そうなのー!?」
嬉しそうに叫ぶ鶴来に渋い顔を見せあからさまに溜め息を向けるとそうじゃない。睨み付ける。
もう、きょーちゃんこわぁい。頬を膨らませプイとそっぽを向くがそれに構えるほど大人ではない。
「編入して直ぐ問題が起きて、嵩音も警戒しているのでは?」
「違うよ。何、誰も分かってないの?」
「さっきからなんなのきょーちゃん!あやちもそう思わない??」
同意を求める彼らにまるで見当違いの彼にいよいよ呆れ、天井を見上げ額に手を当て始めた。しかしその格好すら様になり一般生徒ならばはぁ…見惚れ溜め息を漏らしてしまうだろう。
「生徒会になるまで彼を知らない昂科はまだしも、亜睦と絢は幼い頃から知っているでしょう?」
「だぁからぁ、なにー?」
「あの人がいなくなってから、潤冬は他人に加担しない心配しない、いつも見ているのは一つ。それなのに、彼が編入してからそれが変わった」
「まさか」
「そう仮定していいと思う。私の調べでは彼、あの人と同じ中学に通っていた。いえ、彼があの人と考えるのが妥当」
「ですが資料を見た時は誰も何も言っていませんでしたよね?それに君も言っていましたよね?何も詰まっていない、と」
「あぁ、学校名が違ったからね。でも、よくよく調べてみるとそんな中学は存在しないし、小学校も同様だった。可笑しな言動も私たちを欺く為と仮定したならば――」
緊迫する2人を余所に枦椋は鶴来をちょんちょんつついて首を振る。
それに答える鶴来は見つからないよう珍しく声を抑えた。
「シィー、あやちは鼻が利くもんね。僕も分かってる。でもきょーちゃんにはまだ内緒」
「…ン?」
「その方が面白くなりそうだから」
意味を理解できず今度は頭を傾けた。あやちは分かんなくていいよ。一言いうとよしよし、頭を撫で、おやつ食べよっか!元気に立ち上がった。
「なに?貴方たちはあの人を見つけたくないの?」
「んー、見つけたいけど、お腹減ってたらダメだと思う!でもね、あやちも僕もね、早く見つけてあの名前で呼んで欲しいな!きょーちゃんもそうでしょっ」
「私は…」
「ですが、早く見つけたいことに変わりありませんよね?」
「昂科…」
「みなさんの探し人、早く見つかるといいですね」
うん!だからまずは腹ごしらえね!嬉しそうに話す鶴来に渋々ながら頷き隣の部屋に移動する。
最後を歩く彼の鋭い視線に気付いた者は一人もいない。
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