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第147話

不意に起き上がる隣に気が付き自らも体を起こした。何かあったのだろうかと、肩にかけている布団ごと背に被さる。 「どうした。眠れないのか?」 「ぁ…いや、あの、目が覚めて…」 下手な言い訳に言及はせず、そうか。頷き話を変える。 長い髪の奥、ずっと前から気になっていたことだ。 「どうでも良いことかも知れないが、お前、このピアスホール塞ぐのか?」 「あっ。いや、その…校則違反だと思って…」 「まぁそうだが、ここは基本身嗜みチェックはないし、髪に隠れていれば誰も気づかない」 これも地雷だったのかと寝ぼけた思考で行き着くが敢えて話を詰めてみた。 前から不似合いなそれらが気になっていた。この見た目に反する数のピアスホールが。 「いいんです、塞がったらふさがったで。付けるものもないですし…」 「ふーん、もったいね。それなら俺のこれやるよ」 「え?」 一つ外し軽く拭うと勝手に右耳に通し始めた。カチャカチャ聞こえる音が生々しくなんでか恥ずかしいと肩を竦めるが、今は夜。月明かりだけでは彼の色の変化は相手には伝わらない。それだけを幸いと彼は考えていた。 「余程のことがなければ見つからないだろ。たぶんな」 不安を煽る言葉に無言で外そうとした彼。ちょっと待てと珍しくその手を止めた。どうして、振り向くとジッと見ていて、それから直ぐに口を開いた。 「俺の、お守りなんだ」 「お守り?」 「あぁ。あいつがいなくなった夜を忘れない為のお守り」 誕生石のブルージルコンに金色の月と星を飾ったピアス。お守りなんて良い言い方をしたが、本当は、いなくなるまでその存在のデカさに気付けなかった羞恥心と、必ず見つけると誓った空を忘れない為に付けていたモノだ。 もう二度と、犯さぬようにと……

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