150 / 291
第149話
「だからあんなこと言ったのか…」
「なんだ?」
彼はこの間の彼の台詞を思い出していた。突然現れ華麗に輪の中に入って来た噂好きのあの彼を。
「大した事じゃないんです。ちょっと前にクラス委員が、生徒会はブラックサウンドって言う不良グループで、潤冬さんはその長だって言ってて…でもそのすぐ後に違うって別の人が否定していたんですけどね」
「ふーん」
「あの時ですよ!俺が3階に料理運んだ時!」
「あぁ、あれか」
話半分の返事にもういいですよぉ。などと言って言っているがそう言えばあれがあったから吉田さん達と……と思い出しクスクス一人笑っていた。
「なんだ」
「はい?」
「なんで急に笑ってんだよ」
「え?」
「何か楽しいことでもあったか?」
逆になんでそんなに怖い態度なのか分からない。
今、何かヘマを犯しただろうか?短く考えたが今の一瞬で何をしでかしたのか見当もつかず瞬きしか出来なくなる。
「はぁ…もういい。俺は寝る」
「え?いや、その……え?」
どうにもどうしたらいいのか訳も分からず、仕方がないので彼も隣に寝ることにした。
明日明後日と、今日と同じくサインクダサインの集計が残っている。きっと2人になることはないだろうけど…と、少しばかり心配しながら玲音は目を瞑った。
最も、その心配もアレを忘れられず体が疼いてしまいそうだと言うものだが……
ともだちにシェアしよう!