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第157話
なるほどな。そう言った金髪だがまだ何か言いたいようで、しかし特に何も続けずコーヒーカップに口を付けた。
はぁ…なんだよこの様になる仕草。と言うか金髪碧眼とかマジなんだしこの学園には王子様何人いるんだし目の前の我が儘王子と暁胡先輩の物腰柔らか王子と迷うだろうが。
なにが?って自分でもちょっと言ってる意味分かんないけど迷うし。
いやいやでもこっちはもう相手がいるし手を出そうだなんて誰も思わないさっきのアレもあったし……あ。こっちは王子と言うより王様って感じだ。それももの凄い権力振りかざすヤツね。
この金髪がトップで大丈夫かな……でもって、去年は大丈夫だったのかな……
「お前との再会はこれくらいで十分だ。本題の風紀委員だが、明日から本格的に始動する。その為お前には――」
「あの」
「なんだ」
「俺、風紀には入りませんよ」
「なに?」
途端キツクなる視線。しかしそこで怯むなんてことはない。
真っ直ぐ見返して瞬きだけを数回繰り返す。
「俺に楯突くなんて、本気か?」
「はい。このことが気に障るなら俺を辞めさせるなりなんなり、お好きに。でも俺は入りませんから」
「理由はなんで?」
長髪が静かに聞いてくる。こっちは何を考えているのか分からないけど怒ってはいないように見えた。
「俺はまだ、ここに来たばかりです。貴方たちのような権力もないので誰も聞く耳を持たないでしょう」
尤もらしい言葉をつらつら並べる。本当の理由なんて教える必要はないのだから。
「話は以上ですよね?帰ります」
早口に言うだけ言って2人の言葉も待たず立ち、風紀委員室の扉を開ける。
「ゎっ」
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