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第159話
他の奴はどうした?知らねぇ。まだどっか飛んでんじゃねぇの?彼の頭上で行われる会話に今がチャンスだ。そろぉ…っと体をずらし外に逃げる準備をする。だが目の前にした扉はカチャッと勝手に開き、え、何事?見上げた瞬間目の前の影に腕を掴まれていた。
「ってことで、またしたくなければ――おい、もう一人はどうした?」
「ん?クソッ!あいつ、どこ行きやがった!?」
「はて、いつの間に?」
急にいなくなった彼に3人は疑問と怒りを其々浮かべていた。
しかし当の本人はそんなこと気にしている余裕はなく、別の場所でまた尻もちを付いて、向かいに立つ狐目した笑顔の人物に珍しく冷や汗を滲ませジッと見つめ隙を与えないよう努めていた。
ここ、どこ…?
さっきの風紀委員室から離れてないとは思うけど地図は把握してないし他の逃げ道も見れないしと言うか目を逸らしたら一番やばいヤツ。
「アイーズ?いい目してんね、ぼくちゃん。恐さを知っているからこそ、余所見せず、でもそれが仇になる」
そう言った瞬間、彼の目の前が光り目が眩み顔を逸らしてしまう。
「ぅわっ!」
声を上げた時には遅く、馬乗りされ首に当たる冷たい感覚。
成る程今のどうやったか全然分からないけど萌ええ!の前に恐怖が全面に出て来て感動してる場合じゃない。
「き、りゅうさ、…」
「フーウ?その名前で呼ばれるの、ひっさびさ。2ヶ月ぶり」
「……」
いやいやいや!2ヶ月ぶりって全っ然久々ではないですからね!?
さっきからなんなの?こう言うボケが流行ってるの?
内心ではあるがもの凄い速さでツッコミを入れていた。
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