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第162話
「どうしてコレしか付いていない」
「あっ」
「ペーイン 耳が赤くなるほどの思いをした、ピンクは?」
「っ」
さっきの宣言通りピアスを指に挟みぐいぐい下に引かれ、正にちぎる勢いで耳全体にも負荷がかかる。外そうと腕を引っ張ればそのまま耳も着いてくるだろうし、見えないまま指を外すなんて高度な技術もない。
「なんで付いてない。もういいのか。忘れられたのか。ぼくちゃん、どうして」
ましてブチ切れの相手に説得なんて無理。
こんな時どうすればいいかも思い出せずもう仕方ないと残っている最終手段に出た。
「どうして、どうして、どうして、どうして……」
「…めん、なさ……」
聞く耳持たずの相手になりふり構わず平手打ち。
パンッ!軽い音が響き顔が横を向く。そのまま暫く微動だにせず、ああこれ俺の人生終わったな。確信した。
するとにこにこまた目を細め顔をこっちに戻した相手が一言、ボーナス呟き漸く手を離した。
「ぼくちゃんの攻撃が成功したから今日は聞かない」
「え」
「攻撃が体に触れたらそこで終了。今日はひっさびさだから、ぼくちゃんおまけ」
「え」
「アーップ?ぼくちゃん立つ」
馬乗りを止めて手を差し出され戸惑いながら重ねればグイッと引かれ立たされる。思いの外勢いがあってうわっと悲鳴を上げるとキッキッと可笑しな声で笑われた。
マジでこっちがどうしてって問いただしたい。今の何がどうして終わったの?おまけって何?
「ビトイーン?ピンクを外した理由はまだ内緒」
ハッ!俺分かったかも知れない。これってアレでしょ!超強い不良のボスがタイマン張られて俺を殴れたら認めてやるよとか俺に掠り傷でも付けられたら教えてやるよとかの類いのそれでしょ!
でもって自我無くしちゃうくらいブチ切れてた時に超か弱い受ちゃんにペチッて頭とか頬っぺた叩かれて大人しくなっちゃうヤツでしょ!俺知ってる。
なんかちょっと違う気もしなくもないけどこれでしょもうこれだ。俺めっちゃ滾ってるからこれで良い!これに決めた!
「バーイ ぼくちゃんまたね」
×××
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