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第164話
バタン。無造作に閉まる扉。一斉に音の鳴った奥の方を見れば扉の前には両手をポケットに突っ込みしっかり前を見据える細目がいた。
「隣にいたのか、お前」
「キュート?懐かしのぼくちゃんと遊んだ」
「懐かし?」
「もしかしてお前か?レオンを攫ったのは」
睨むような視線に変え問い詰めるよう見つめた。だがしかし相手はモノともせず、逆に笑みを深め見つめ返している。そしてそのまま二歩三歩と近づき目の前まで来るとキッキッキッ、声を出して笑った。
「リピート?そう、ぼくちゃんはレオン。また、向こうから来た」
「あ?またってなんだ」
「貴方、玲音と面識があるんですね?」
「何言ってんだよ。向こうにいた時、こいつはいなかっただろ」
「ぼくちゃん、ピンクじゃない。どうして」
「最初に会ったのはいつ?我らよりも先?どうなんです」
其々がそれぞれの話を聞かず好き勝手なことを言い、会話に入らず流れを見届けていた数学担当兼風紀委員顧問の竹ノ原 は、あー、うんうん。お前ら昔からこうだったよ。俺の話も聞かないであーしたいこうしたいを進めてた。今日からまたこれが始まるのか。
「面倒くさいな……」
「昨年はどうされていたんです?」
「ん?去年は――って、急に現れんなよ!」
「あぁ、申し訳ありません。先生に羽葉君の書類をと思ったのですが」
「さっきのあいつか?でも用はないな。ランの奴がフラれたらしい」
「みたいですね。先ほど廊下で聞きました」
「調べはついてるのか?ランに臆せず意見する奴なんて見たことないぞ」
どうせバックにランディと同じやの付く役職でもいるのだろう。本人はそうは見えないがだからこそというものもある。予想しながら隣の返事を待つが、返って来た言葉に耳を疑った。
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