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第177話
「ふふ、見えちゃったね、玲音」
なにこの急に年下男の全てを包み込むような笑み!未亡人感半端ないんだけど目の前には真っ白真っ新な絹の肌があるしおピンクはおピンクだし純情無垢なのに纏うオーラはやっぱり未亡人だしなにこれ良いの!?
俺狼になっていいの!?なんなのなにを試されてるの!?
ワイシャツは肩から下ろし肘でくしゃくしゃに纏めたまま、暁胡さんはふふってずっと笑っていて、なんかもうどうしたらいいかピンクパニック!略してピンパ二!
「大人しくなって、どうしたの?もっと近くで見なくていいの?」
「ひぁぅっ!?」
なに!?なんでこんなに積極的なんだこの未亡人!?おおおちっ落ち着け、俺。おピンクの間で頭を抱かれてるとかちょっと味見してみたいとか考えるな。他のことでいったん落ち着け。
そうだ、未亡人について考えろ。俺の知らないあの人を思っているどこぞの未亡人について……あぁ、でも暁胡さんの匂いにもう負けそうです。
――未亡人それは、今はいないあの人を一途に思い気高く生きる一輪の花。常に穏やかに微笑み他人に覚られまいとする。まるで凛と咲く百合のようでバラのようで、しかしその陰では孤独に耐え人知れず涙を零し儚く落ちてしまう椿のよう。
たまに見えてしまう悲しげな表情に尚魅かれ攻略しないではいられない。
そう、それがみぼう…じん……?
アレ?俺、なんの話してたんだっけ。これってなんか、未亡人と言うより、俺の好きな不良王道BLの転校早々出会い頭に作り笑顔を指摘しちゃう話の副会長のことみたいだ。
「れおん?」
「ぁ……」
心配してくれる暁胡さんだけど、副会長イコール作り笑顔って思ったらもうそっちにしか見えなくて、おピンクも気になるけどでも、尋ねてみたいも大きくなって、しかもさっき思い出した一度は言ってみたい台詞ランキングにも急浮上しだした。
×××
男と車は急には止まれない(意味違い)
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