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第180話
ぁ――……
暁胡さんマジ良い匂いだったお部屋まで良い匂いとか何なの何したら高校ダンスィの部屋があんなに良い匂いするの俺の部屋は何なの必死に芳香剤とか置いてるんだけどあの匂いは何なの……ハッ!お高いブランドのなんかいい感じのアロマだな。お店でアレンジして洒落たディフューザーに入れるお高いやつだ。
ぼんやりしながら寮のリビングを開ければ陽向がソファで寛いでた。
ただいまってなんとなく言った気がする。でもさっきまでの光景とか匂いとかでまだ惚けててなんて言ったか覚えてない。
「玲音、おかえ、り……」
「ん――…うん……」
「ねぇ玲音、どうしたの?」
「ん―、なにがぁー…?」
はぁ…このまま眠りたい。
陽向が飲んでいるらしくリビングには紅茶の香りが充満していて、それも相まってもう頭溶けきってる。もの凄い良い状態。
部屋戻って寝ようかな……夢にえっちな暁胡さん出てきそう……そしたら俺、狼になってみる。夢だからいいかな……いいよね……出てきて暁胡さん。
「どうして副会長さんがいるの?」
「えー?そんなことないよぉ……だって、お部屋で……」
あれ……ご飯一緒に食べた後からよく覚えてない。お腹いっぱいだぁって思って、これ以上長居するのは失礼だからって部屋を出て……
「あれぇ…?」
ふわって振り向けばよろけ、ふわふわの何かにぶつかった。
良い匂いする……これ、さっきまで嗅いでたのに似てる。もっと……
すり寄れば背中にも温かいのが伝わって来て、気持ちいいからこのままでいたいここで寝る。
体をそれに預けていたら後ろから大丈夫?と聞こえ、大丈夫と頷いたけどちゃんと頷けていたかは分からない。
「ねぇ貴方、玲音の部屋はどこ?」
「あ、えっと、こっちです」
「玲音、もう少し頑張って歩いてくれるかな」
「……ぁ、い…」
温かみと匂いに着いて歩くけどこれ、どこに向かってるの…?
薄暗闇の中に吸い込まれるように入ってそしたらふかふかの上に辿り着いた。
「僕ももう少ししたら寝るので、何か分からないことがあったら向かいの部屋に来てください」
「うん、ありがとう」
「ぁ……おやすみなさい」
おやすみ。
部屋の扉を閉める前に向けられたいつもより柔らかい笑みに陽向はなんだか胸の奥が温かくなるのを感じていた。
「副会長さん、なんだか今日はお日さまみたい」
頭の中まで温かい気がして、陽向ももう少しを止め直ぐにベッドへ入ることにしたのだった。
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