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第7話
パチパチと瞬きを繰り返すケンジさんがグラスをテーブルに置く。
「あのさ、アキくん」
「はい」
「僕もそう若くないわけ」
「知ってます」
俺もあんたとそう変わらない年齢なんですよ。分かっています。
「だからね、本気にはなりたくないなあって」
いう気持ちがある、と彼は目を伏せる。
「どうしてですか」
「だって色々辛いじゃん」
「ケンジさんは難しく考えすぎなんじゃないですか」
「そうかなあ」
おずおずと、俺を見上げる彼は随分幼く見えた。
「俺は嫌ですか」
「カッコよくてモテるだろうなと思っているし、いい子だなあとも思うし、」
赤い目元と首筋が目に入ってやたらと艶めかしい。
俺もきっと酔っているんだろうなあ。
「タイプだなあって……思ってる」
右の人差し指を顎に当てて、キョロキョロと瞳が動く彼から目が離せない。
「俺、ケンジさんのタイプなんですか」
込み上げてくる何かが溢れてしまいそうだ。
「そうだね」
「あ、コレ一目惚れだって思って近付いて好きだなあと思って。今、隣で酔っ払ってふわふわしているケンジさんに手ぇ出したいなあって思っている俺は軽率ですか」
ぐいと体を近付けて距離を縮める。早口になってしまうのも許して欲しい。
だってこんな展開、ほんの少しは望んでいたけれど期待はしていなかった。
「軽い男だねえ」
目を伏せて小さく笑う彼に指を伸ばして目元をなぞる。
(かわい、)
でも、それ位が丁度いいかなあ。
そう呟いたケンジさんが恥ずかしそうに両手で顔を覆うから。そのままぎゅうと肩を抱いてみれば酷く赤い耳と首筋が目に入る。
高鳴る自分の心臓の音が煩くて、きっと彼にも伝わっているに違いない。
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