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また、明日
【継side】
駅に着いても結局創は起きなくて、オレの背中でまだ寝てる。まあいいけど。疲れるような事したのはオレだし、創一人背負うくらい何ともない。
時折寝言でオレの名前を呼んでくれたりして、その度に嬉しくなる。
「継、顔緩みっぱなし」
「ふん、羨ましいだろヘタレ」
「羨ましい」
「しねーからなっ!」
「うるせえ、創が起きんだろうが!」
オレの世界は創が中心に回ってる。創が何より優先。
背中の体温を気にしながら帰り道を歩いた。
大介の家に寄っておばさんに挨拶すると、相変わらず創に甘いと笑われた。
この人はオレ達の二人目の母親みたいなもんだから、当然オレと創の事も知ってる。けど、大介と同じように何も変わらなかった。それが、ほんとに有難かった。
「で、こっちがジャスティン。オレらの幼なじみ?」
「初めまして、ロー・ジャスティンです。お会い出来て光栄です」
「あら、礼儀正しい上にイケメンじゃない!大介なんかにはもったいないわぁ」
にこにこと握手を交わすのを見ている大介が、みるみるうちに真っ赤になっていった。
あれ、そういやオレこいつらの事話してないよな?
「創ちゃんからメールもらってたから、会えるの楽しみにしてたのよ。高校卒業したら、うちの子よろしくね!」
爆弾発言をして、ひらひらと手を振りながら玄関に消えた。
さすがオレらの事知っても動じなかった人だな、自分の息子でもこれだなんて。
「…継、創起きたら聞いといて」
「おう、覚えてたらな」
じゃあ明日なー、と声をかけて先に歩き出す。後ろでジャスティンが何か言って大介が叫ぶのが聞こえた。
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