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優しさでコーティングした独占欲
【ジャスティンside】
「ダイスケ、here we go!」
「えっ、うわっ、なに…っ!」
二人が駆け出してすぐに、後ろからダイスケの腕を掴んで走り出す。一緒にいたヒデキ達は、いきなりの事で驚いていたみたいだ。
情けないな、ジェラシー丸出しだなんて。
でも、笑われたっていい。ダイスケを独り占めしたいんだ。
「ちょっ、お前…バカか」
「……はい、」
他のクラスメイトを追い抜くほどに夢中で走って教室へ着くと、やっとその手を離す。
肩で息をするダイスケに、ばしっと頭を叩かれた。
「後で戸川達に謝っとけよ?」
「ん…」
ふう、と大きなため息をつくダイスケに諭されて、改めて自分の取った子供じみた行動に恥ずかしくなる。
ばつが悪くなって俯いていたら、不意に首にタオルが掛けられた。何かと思ったらそれを引かれて前のめりになり、すぐ目の前にダイスケの顔。
「ばーか、嫉妬なんてみっともない真似してんじゃねーよ」
唇に一瞬触れたのは、紛れもなくダイスケのもので。
すぐにそっぽを向いて着替えに行ってしまうダイスケの背中を呆然と見送りながら、首に掛けられたままのタオルで顔を覆った。
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