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確実に僕の一部になりゆく
【大介side】
昼休みや放課後にこうしてジャスティンにトレーニングしてもらってからまだ数日だけど、なんか、自分の中でちょっとだけ変化があった。
なんていうか、うーん…なんだろ、体がふわふわしなくなったっていうか。空中での姿勢を保てるようになって、シュートするのに跳んだ時のリングとの距離感とか、だんだん一定になってきた気がする。
「だいぶ慣れてきたな、ダイスケ」
「はあっ、疲れるけどな…っ」
息が乱れてもわりとすぐに戻るようになってきたのが自分でもわかる。今も体幹トレーニングをしながら、自分でカウントを数えられるくらいにはなった。
体育館の床に仰向けで寝転がって、横でメモを取るジャスティンを見上げる。こいつが、俺を変えてくれた。こいつがしてくれる事が、少しずつ確実に俺のものになっていくのが、たまらなく嬉しくて。
傍らに座るジャスティンに手を伸ばして、くいっとズボンの裾を引っ張る。
「なあ、俺も、いつか誰かにこんなふうに出来んのかなあ?」
こいつに教わって俺のものになった事を活かす事が出来るのか、それはまだわからない。けど、そうしたいとは思う。
トレーナーという夢に向かって歩いて行く事を決めた今、自分で体験出来た事はかなりプラスになったはずだ。
「誰か、じゃない」
「え…っ、」
オレにだけ。
そう直接唇へと伝わった言葉が、いつまでも消えないでいてほしい。
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