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背中を押してくれる人
【大介side】
集合かかるまで一人でクールダウンしてると、向こうでジャスティンと梅ちゃんが話してた。時折こっちを見てフッと笑うのが、なんだかくすぐったい。
ストレッチしながらじっと見ていたら、二人がこっちに向かって歩いてきた。
「ワタ、だいぶ動けるようになったんだってな」
「ばっちり!…とはいかないけど、まあ何とか?」
差し出されたジャスティンの手を掴んで立ち上がると、よろけた体をしっかりと支えてくれる。
じっとジャスティンのメモを見ながら、梅ちゃんがニヤッと笑いながら言った。
「夏の新人戦からポイントガードでいくからな、しっかり鍛えてやってくれよ?」
「了解、ボス」
「ぃいってえっ?」
バシッと背中を叩くと、集合の号令をかけるためステージに向かっていった。
「大丈夫か…?」
「ってぇ…あんのバカ梅っ!」
苦笑いしながら背中をさすってくれるジャスティンが、不意に真剣な顔で見つめてきた。
「…やれるか?」
「誰に言ってんだよ。球技大会でポイントガードデビューしてやるっつーの!」
がつっと拳を合わせる。痛い。けど心地よく響く音。
集合の号令がかかって歩き出す。
この背中を押してくれる手に、俺の全てを任せようと思った。
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