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抱きしめて名前を呼んで

【継side】 別に大介を呼ぶなとは言ってない。いてもいなくても、創がいれば他はどうでもいいし。 ただ、オレの為だけに作ってくれない夕飯が気に食わないだけで。むかつくから夕飯作る創の後ろから抱きついた。 「継、なんかご機嫌斜め?」 「おう、すっごく」 「キスしたら治る?」 「…治らないけどちゅーはしたい」 どんだけガキなんだよオレ…ほら、創が笑ってる。 持っていた野菜をまな板に置いて、汚れた手を洗う。エプロンで軽く拭いてから、オレの腕の中でくるりと向き直った。 「どうしたの?」 「創もぎゅってして」 「うん」 素直にオレの背中に手を回して、ぎゅっと抱きしめてくれる。もっと強くてもオレ的には平気なんだけどな。 「…名前、呼んで?」 「継…けい、継、…大好きだよ、継。継だけ。ね?」 「ん…」 そっと触れた唇も、声も、吐息も、全部自分のものにしたいだなんて、そんなわがままを笑って叶えてくれる創が好き。

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