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穏やかに過ぎる時間

「機嫌治った?」 「今晩やりたい」 「今日はダメ。優勝したいんでしょ?」 「うーーーー…じゃあ優勝したらご褒美上乗せして?」 「ふふ、考えとくね」 するりと腕から抜け出すと、手際良く夕飯を作り始める。朝のうちに下拵えしてたみたいで、あとは焼くだけ、揚げるだけの状態だった。 洗った野菜を盛り付けるように言われ手渡される。 「野菜もちゃんと食べてね?」 「…頑張る」 いい子いい子、と頭を撫でられて、なんかちょっと嬉しくなった。 オレがサラダを盛り付ける間に、創はオムライス、スープ、唐揚げ…なんだか同時に色々作ってた。 テーブルに並べられた夕飯は、オレが好きなものばかり。「明日頑張ってね」なんてにっこり笑顔で言われたら、もう優勝するしかないだろ。 「継の為に作ってるよ?ただちょっといっぱいだから、大ちゃん誘っただけだからね?」 「ん、わかってる。創が作ったもん他のやつに食わせるのがもったいないだけ」 わかってる。わかってるんだけど。 ほんとガキの嫉妬だな… 「ねぇ、そういえば大ちゃんお風呂長くない?」 「ヤッてんじゃねえの?」 「それはないと思うけど…ちょっと部屋見てくるね?」 「オレも行く!」 創と離れるなんて冗談じゃない。後ろから抱きついたまま、いつも大介が使ってるジャスティンの部屋に向かった。

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