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決戦は金曜日

いつもの通りコンビニに寄って、適当にカゴに突っ込む。 いつもと違うのは、朝起きてからジャスティンがずっと隣にいる事。 「ほら、これだろ?」 「…っ、サンクス!」 ここ何日かこうして一緒にコンビニや自販機とか行くようになって、こいつの好きなメーカーのコーヒーとかをなんとなく覚えてしまった。 朝と昼はコーヒー、部活の時はスポーツドリンクかコーラってのが定番のようだ。てかコーラ??って一度突っ込み入れたけど、飲む前にシャカシャカ振って炭酸を抜く事で、運動中に消費した糖分摂取に効果があるとかなんとか… そういう知識とか経験とかを教わる度に、自分の経験不足が目に見えるようだった。 ジャスティンはこれから勉強すればいいなんて笑って言うけど、俺にとっては勉強するべき事はまだまだ他にもあって、どんどん自信がなくなっていく要因にしかなってない。 今まではトレーナーって仕事に興味があって、ちょっとかじったり筋トレの方法とか調べたりする程度だった。でもジャスティンに出会ってそれが明確になった今、出遅れた感でいっぱいだった。 いくら強豪校だからって、同じ高校生なのに、この知識の差はなんなんだよ? 「…ダイスケ」 「んー?」 「どうか、した?」 コンビニを出る時にジャスティンが買った袋を持ってくれたので、手持ち無沙汰になった手のひらをじっと見つめていた。 事あるごとに言われる『専属トレーナー』。出来るなら俺の手でこいつをゲームまでに最高の状態に仕上げてやりたい。でも、俺に出来るのかわからない。 「お前はさ、俺でいいの?」 「ダイスケ?」 「あーーーー…何でもない」 変な事言ってごめん、と口に出す前に、いきなり腕を掴まれてぐんぐん歩き出した。

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