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決戦は金曜日

「ダイスケに会って初めて、コンディションがマックス以上になったんだ」 「なんだよそれ…」 「なんていうか…精神的な?」 ぽんぽんと背中を軽く叩かれる。 「…いつ、から?」 「一番最初。体育館で打ったシュート、全てが最高だった」 ああ、あれは俺も覚えてる。すごかった。 フォームはもちろん、ジャンプの高さ、ボールを放つタイミング、強さ…全てが完璧で、あんな綺麗なシュートは初めて見た。 「それから、ダイスケがそばにいてくれると思ったら、なんだかすごく体が軽くなって、プレイもイメージした以上だった」 「…恥ずかしいヤツ」 俺の方が恥ずかしくなって、胸元に縋り付いて顔を埋めた。そしたら更に強く頭を押さえ付けられて、なんだかもう、何がなんだかわからない。 「まあそういう事だから、俺の心も体もbestに合わせられるのは、ダイスケしかいないんだ」 「…でも、何年かかるか」 「語学留学しながらスキルを勉強できるプログラムがある」 「お前、よくそこまで調べてんな…」 「ダイスケを手に入れるためなら努力は惜しまない」 「違うとこに使えよその努力」 ああ言えばこう言う…こんな理論武装されてちゃ、俺が敵うはずがない。 でも、そんな方法があるのか。それなら英語を勉強しながら知識を得る事ができる。手っ取り早くていいな。 小さく頷いて、顔を上げた。 「…もう、大丈夫」 「オレだけの事、考えてくれる?」 「まあ、何年か経ったらな」 「今すぐ」 再び顎を掴まれた時には、目の前にジャスティンの顔があって。頬を撫でる手のひらの心地良さに瞳を閉じれば、そっと唇に柔らかなそれが重なった。

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