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決戦は金曜日
「うっし!」
リバウンドを取った戸川が大介に回す。それをゆっくりとした動作でドリブルしながら、キョロキョロと見渡していた。
オレと目が合う。その向こうには走り出すジャスティン。
「継!ソッコー!」
速いパスを出されて手のひらが痺れる。気持ちいい痛さ。
低い位置でドリブル突破する。先輩が二人、前に待ち受けてる。この二人の鉄壁のディフェンスを崩す自信はまだ今のオレにはないけど、越えられる自信はある。
「ジャスティン!」
二人と対峙する直前、孤を描くように逆サイドへボールを渡す。その先にいるのはもちろんジャスティン。
あの位置、あいつが一番得意な角度だ。
「スリーだ!止めろっ!」
先輩達が慌ててそっちに向かうけど、遅い。例え間に合ったとしても、あの位置にいるジャスティンは何枚ディフェンスがついたって確実に決めるだろう。
膝を曲げる。ふわりと余裕のある高いジャンプ。しなやかな腕が伸びる。最高点に達した瞬間に手のひらから離れたボール。
綺麗なフォーム。完璧なシュートだった。
スパッ!というネットの音だけが鳴り、次の瞬間には歓声が上がった。
いつ見ても綺麗なジャスティンのシュート。得意な位置からなら外れるわけがない。
歓声の中で相手がすぐにスローインから再開する。喜んでる暇はない。
あと5点。
「マーク!しっかりチェック行って!」
「オッケー!」
大介が中心となって声を出す。後半からはオールコートのマンマークで付いていた。これ以上点差を開けられるわけにはいかないので、一対一で確実に止める。
相手コートでボールを奪った大介が、ちらりと後ろを見る。それにマークが気を取られた隙に低い体勢から中に切り込む。大介がシュートの位置についた時にディフェンスが追いついて手を伸ばし、それを阻んでいた。
「なっ…??」
しかし、放たれたボールは前ではなく後ろへ。
「ナイスパスだ、ダイスケ」
ラインの外でニヤリと笑うジャスティンは、フリーのままスリーポイントを難なく決めた。
あと2点。
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