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決戦は金曜日
先輩からのスローイン。
「げっ??」
甘いコースだったのが幸いしてそれを奪ったオレは、振り向き様にボールを放った。
「くそっ、リバン!」
体勢を整える前に放ったシュートは、ボールが手のひらから離れる前から入らないと思っていた。けど、この流れを変えたくない。
本当はリバウンドからもう一度じっくりシュートに持ち込みたかった。
風のようにインサイドに入ってきた金色が宙を飛ぶと、リングに当たって跳ね返ったボールが逆戻りしてそこに押し込まれた。
「す、げぇ…」
「はは、敵じゃなくてマジで良かったよな」
あんぐりと口を開けたままの戸川の背中をポンと叩き、ポジションに戻る。
これで振り出しに戻った。
残り時間はあと3分ちょい。絶対勝つ。
それからは一進一退が続く。
残り時間が刻一刻と減っていく中、あいつは楽しそうに笑っていた。
「大介、お前すごい楽しそうじゃん」
「んー、まあな。ポイントガードって面白いな」
「ふうん。この先やってけそう?」
「誰に言ってんだバカ」
二人並んでゆっくりと上がる。30秒いっぱいに使って、大介がゲームを組み立てる。
この試合を動かしているのは、間違いなく大介だった。
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