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決戦は金曜日
相手が外したボールは、戸川か倉留が確実にリバウンドを取っていた。逆にこちらのシュートが外れる事はほとんど無くて、ジャスティンにボールを集めると必ずネットを揺らしてくれる。
向こうもそれがわかってるのに、ジャスティンを止められない。
「なんでボール持った奴の方が速いんだよ…」
マンマークでオレがついた先輩が、半ば諦めたように呟いたのが聞こえた。
「さあ…足の長さっすかねえ?」
「くそっ、人種差別だ!」
悔しそうに笑うこの人は嫌いじゃない。いつもオレ達の面倒見てくれてアドバイスもくれる、優しい先輩だ。
だからと言って手加減する理由にはならないけど。
ボールを持ったジャスティンは、まるで手のひらに吸い込まれるかのように低い位置でボールをつく。一歩がオレ達よりも広くて、でも安定した姿勢でボールを運んで行く。
センターサークルを越えようかというあたりで、更に姿勢を低くした。それを合図にサイドへ広がり、すぐにパスが来る。
「継!」
すかさずマークが張り付くそのすぐ後ろから聞こえる声を頼りにボールを放てば、予想通りに大介が受け取る。
中に切り込む大介、それを追うジャスティン。
「スイッチだ!ワタじゃない!」
相手の死角でボールを受け取ったジャスティンが放ったボールは、綺麗な放物線を描いてゴールに収まる。
ピィーーーーッ………
長い長い笛の音が、試合終了を告げた。
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