257 / 507

決戦は金曜日

相手が外したボールは、戸川か倉留が確実にリバウンドを取っていた。逆にこちらのシュートが外れる事はほとんど無くて、ジャスティンにボールを集めると必ずネットを揺らしてくれる。 向こうもそれがわかってるのに、ジャスティンを止められない。 「なんでボール持った奴の方が速いんだよ…」 マンマークでオレがついた先輩が、半ば諦めたように呟いたのが聞こえた。 「さあ…足の長さっすかねえ?」 「くそっ、人種差別だ!」 悔しそうに笑うこの人は嫌いじゃない。いつもオレ達の面倒見てくれてアドバイスもくれる、優しい先輩だ。 だからと言って手加減する理由にはならないけど。 ボールを持ったジャスティンは、まるで手のひらに吸い込まれるかのように低い位置でボールをつく。一歩がオレ達よりも広くて、でも安定した姿勢でボールを運んで行く。 センターサークルを越えようかというあたりで、更に姿勢を低くした。それを合図にサイドへ広がり、すぐにパスが来る。 「継!」 すかさずマークが張り付くそのすぐ後ろから聞こえる声を頼りにボールを放てば、予想通りに大介が受け取る。 中に切り込む大介、それを追うジャスティン。 「スイッチだ!ワタじゃない!」 相手の死角でボールを受け取ったジャスティンが放ったボールは、綺麗な放物線を描いてゴールに収まる。 ピィーーーーッ……… 長い長い笛の音が、試合終了を告げた。

ともだちにシェアしよう!