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決戦は金曜日
「ありがとうございましたっ!」
センターラインに整列して、頭を下げる。と、ぱたぱたと走り寄ってくる足音が聞こえてきた。誰か、なんてわかりきってる。
顔を上げると、今一番欲しい笑顔が飛びついてきた。
「継っ!やったね!おめでとうっ!」
「おう、見てた?かっこよかっただろ??」
「うん、すっごいかっこよかった!」
ぎゅうぎゅうと抱きしめて頬ずりする。
それを見ていた先輩達が、慌てて声を掛けてきた。
「おい、お前やばいって!」
「誰だよこの子…」
「ほら、君も離れた方がいいよ?」
「こんなとこお兄ちゃんに見られたら…」
「ちょっとほんとまずいって!」
口々にそう言って慌てる姿がおかしくて、つい笑ってしまう。
抱きしめていた腕を緩めて、頬にちゅっと口付けた。
「や、本人なんで」
「「「「「マジか」」」」」
愕然とする先輩達を残してコートを出る。クラスの奴らのとこまで行くと、あっという間にみんなに囲まれた。
口々におめでとうとかやったなとかお兄ちゃんのおかげだなとか、なんか色々言われて。その隣の輪には大介達が同じように祝福されている。
暫くして表彰式が始まり、うちのクラスはバレー、サッカー、卓球は準優勝、そしてバスケは優勝という素晴らしい結果に終わった。当然、応援部門もぶっちぎりで優勝。
代表で大介が賞品の目録を受け取る。でも、今のオレは食券なんてどうでもよかった。
早く帰って創食いたい。
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