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ご主人様のご命令とあらば
公園を出て、ゆっくりと並んで歩く。たまに触れる指の背が、なんだか俺とこいつの距離を強調してるみたいで。
だけど、一つこいつに守らせなきゃいけない事がある。
「…こっから先、キスもハグも禁止な」
「It's impossible」
「自信満々に即答すんなよ」
「だって自信あるから」
「ふざけんな」
双子じゃないんだし、往来でそんな真似なんか出来ない。
むしろ問題なのは家に帰ってからだ。今のうちにクギさしとかないと。
「とにかくダメ。な?」
「………これが日本の天然というやつか」
何が?
悔しいけど身長差があるんだから、見上げるのは当然だろうが。
「…じゃあ、どこならいい?」
「どこって…………俺の部屋?」
「わかった、それまで我慢する」
じっと見つめてそう言うから、なんかほんと大型犬が待てをしてるみたいで笑える。
手を伸ばしてふさふさの毛…いや、髪を撫でてやれば、ほんとに嬉しそうに笑うから。
やっぱり、好きなんだなあとか思ったり。
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