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その目で見るな
「キスもしたい」
「…舌入れたら噛み切る」
しまった、これって普通のキスならしていいよって意味じゃん。
耳元でくすりと笑うのが聞こえてくる。くっそムカつく。
だから頭突きくらいしてもいいよな。
すっと体を離して見上げる。悔しいけど、かっこいい。
俺を見ているこの碧い目が優しく笑う。
あーくそっ、その目で見るなよ…
「……っ、」
「So cute…」
細められた瞳が近付く。視線に耐えられずにぎゅっと目を閉じると、頬に手が添えられて唇を塞がれた。
熱い。体の中が沸騰しそう。
ただ触れただけの唇が、頬に添えられた手のひらが、背中に回される腕が、なんかもう何が何だかわからないくらい熱い。
きっと数秒だったと思う。もしかしたら一瞬だったのかもしれない。
「ダイスケ…」
「んっ、ちょ…待てって…!」
首筋に唇が押し当てられて、ゆっくりと下に降りてくる。時折ちゅっと音を立てて、ぺろりと舐められたのがわかった。
シャツを掴んでいる手を上から握られ、なんかもう流されそう。
って、流されてたまるかっっっっ!!!!
「ジャスティンっ、wait!!!!」
「Ouch??」
自由になる足を振り上げて、ジャスティンの小指の先目掛けて思いっきり踵で踏みつけてやった。
悶絶するジャスティンをそのままに立ち上がると、わしゃわしゃと髪を撫でる。情けない顔で見上げてくるのがちょっと可愛いかも、とか思ったのは絶対言わないけど。
「ジャスティン、wait…な?」
「…ッ??」
額に口付けて一人で部屋を出た。
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