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待て、って言ったのにこの馬鹿犬!

リビングへ向かうと、そこにはニコニコ笑う母さんが上機嫌で夕飯を並べてる。テーブルにはものすごい量の料理が乗っていた。 はあ、気合い入ってんなあ。 「ダイスケっ!」 椅子に座って唐揚げに手を伸ばした時に、後ろからその腕ごと抱きしめられた。 ああ、俺の唐揚げが…じゃなくて。 「お、まえ…ッ??」 「気付いたらいないから、びっくりした」 「離せ、嫌うぞ」 しぶしぶといった感じで拘束が解かれて、隣の椅子に座る。 こういうところは忠犬そのものなんだよな、バカだけど。 「さ、ジャスティンくんも来たし、食べて食べてっ!」 「いただきまーす」 「い、いただきます」 ちらりとこちらを伺いながら、俺の真似をして両手を合わせるのがなんだか可愛いかもしれない。 そんなこいつを見て、母さんが嬉しそうになんだか色々と取り分けてくれた。 「ジャスティンくんは、いつまでこっちに?」 「留学期間のあと、8月末に帰国します」 「あら、そうなの?じゃあ夏休みの間は家に泊まってよ!」 何言い出すんだこの親は。牛乳噴くぞ! ほら、ジャスティンだってびっくりして……ねえな。 「いいんですか??ぜひお願いします!」 「おいちょっと待てって!」 「いやーん、息子の彼氏が親公認で期間限定同棲とか、超萌えるわっ!」 …………なんか、正木と同じような気がする。 でもトレーニングして貰ったり話し聞いたりとかも出来るし、まあいい、のか…? 「ダイスケっ!夏休みは一緒にいていいって!」 「わっ!ちょ、やめろっつーの!」 ぎゅうぎゅうと抱き締めてくるのが嬉しさを表現してるんだとは思うけど、苦しい。 てゆーか、ハグ禁止っつったろうが! ガスっと鳩尾に一撃いれてやるけど、あれ、あんま効いてないかも。さすがの体だよな、うん。 「…このバカ犬」 はあ、と大きくため息を零してから、太腿を思いっきり抓ってやった。 「このツンツン具合、我が子ながら本当可愛いわ〜」

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