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猫みたいに丸くなってぐっすり

「触んな」 「えー、」 タオルケットを掛けてやって、そのまま髪を撫でていた時だった。 突然の拒絶。ちょっと悲しくなるぞ。 反射的に引いた手のひらを、けれども追いかけるように掴まれる。 「……………背中、撫でるだけなら、いい」 「はは、そうか」 もぞもぞと枕に頭を擦り付けて体を丸める様子は、やっぱり猫のようだ。 お許しが出たのでその背中をゆったりと上から下へと撫でる。最初は力が入っていたのか硬かった体が、次第に緊張が解けたようで緩んでいく。 これを自分がさせているんだと思うと、たまらなく優越感が湧いてきた。 少し近づいてみる。もう少し近づいてみる。大丈夫、拒否してない。 ダイスケの吐息がかかるくらいの距離で、腕に抱き込むように背中を撫で続ける。次第にその吐息が深くなってきた。 疲れているからとはいえ、オレの横でこうして身を委ねてくれる。安らかな眠りを与えてあげられる。 ああ、オレはなんて幸せなんだろう。神に感謝しなければ。 「ねえ二人とも、ケーキ買ってきた、ん………あら、なにこれ可愛いじゃないの!」 大ちゃんの部屋に来たお母さん、二人の様子を激写したようです(笑)

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